【JPBA親川】経営は「あり方」と「やり方」の両輪で業績が変わる

親川 政明(JPBA代表理事) JPBA経営者コラム

2018年9月から全国紙新聞「サンケイビジネスアイ」朝刊とフジサンケイグループWebメディア「Sankei Biz」に弊社代表の親川政明による執筆で経営コラム記事連載を掲載しました。当経営コラムは掲載コラムをノーカット版でお届けします。


フジサンケイビジネスアイ
2018年10月16日掲載
【経営コラム連載第6回】
「生産性高め人手不足対応、社員も幸せに」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/181016/bsg1810160500001-n1.htm


【ノーカット原稿版】

「経営塾に通っている、非常に勉強になっている。しかし業績が変わらない」「成功者にならい、本を毎月10冊は読んでいる。しかし現実が変わらない」。
筆者は経営コンサルタントとして、先の例のような「勉強熱心だがなかなか業績を上げることに苦戦している経営者」を数多く見てきた。また、このような事例も多く解決をしてきた。勉強量と業績が比例しない場合の解決方法は「年商や従業員数、経営スタイルと学習内容がマッチしていない」これに尽きることが多い
例えば「人を動かす」「成功哲学」「7つの習慣」などの著書で有名な松下幸之助やナポレオンヒル、スティーブンコヴィーといった優れた先人の本を読むとする。非常に優れた名著と言われるこれらの本の内容は「自己啓発系」である。「ものの見かた、考え方を変えて習慣を変え、現実を変えよう」といった趣旨のことが多い。
これを筆者は「あり方経営本」と読んでいる。会社はどう「ある」べきか、自分はどう「ある」べきか、社員はどう「ある」べきかを研鑽する上では非常に役立つ本として愛読している方も多い。
しかし現実は「あり方経営本」読んでいる経営者が「経営者兼現場プレーヤー」であったり「個人事業主」の場合は「人を動かす」よりも「自分を動かす」ことが優先される。経営者自身が目の前の資金繰りやセールスに追われているうちは、「人を動かす」より「自分が動く」ほうが速い。
「やり方」が学べる本の例としてアメリカで流行したダイレクトレスポンスマーケティングを日本で広めた神田昌典氏の「あなたの会社が90日で儲かる」という本がまさにそれで、本の内容に即効性があると絶賛する会社もありベストセラーになった。
先に紹介した本のように具体的に「チラシのタイトルはこう書く」「見込み客を集めて本命客を絞り込む」など具体的に「いつまでに、何をする」といったノウハウ本のことを筆者は「やり方系経営本」と呼んでいる。「やり方」は具体的に何を行動するべきか明確に書いてあるので、「やる」だけで良くも悪くも結果が出る。
しかし、この「やり方系経営本」にも欠点があり、今後、自社をどうしていくかといった「未来」「ビジョン」に経営者自身が迷っている時はあまり効果がない。「どう儲けるか」は「やり方」で解決できることがほとんどだが「なぜ儲けるか」「今後、どのような会社にしたいか」といった「将来設計」に関しては「やり方系」では解決することが難しい。
まとめると「あり方系経営本」は経営理念など「会社の未来の方向性」や「会社の器(売上規模)の大きさ」を広げることに効果があり、「やり方系経営本」は事業計画や計画実行など「目の前の問題をどう解決するか」や「会社の器に水(資金)をそそぐ」ことには適している。
経営の基本構造としては「どうありたいか(理念)」からスタートし「どうやるのか(戦略・戦術)」に帰結する。効果的な経営者の学習方法としては事業規模やビジネスステージ別でこれを当てはめた場合、効果が高い学習方法としては年商3億かつ従業員15名前後などの経営者がプレイヤーを兼ねている場合は「やり方」だけで十分なことが多い。このステージはやり方系経営本で実践的ノウハウを吸収し、結果を最短で出すことを目標とすることをお勧めする。事業規模が大きくなり従業員が増え、社長が現場を離れるタイミングでは「人材育成」は欠かせないものとなるので、そのタイミングでは「人を動かす」会社や経営者の「あり方」を勉強するほうが効果が高い。
従業員が多い場合は会社の経営者の人柄や社風、理念に人は賛同し、学び、実践をしていくので「やり方」は社員に任せ、経営者は「あり方」を磨くほうが、結果的に社員も影響され業績が変わることを多く見てきた。
経営者は限られた時間の中で常に決断に追われることが多い。情報化社会と言われる昨今「どう学ぶか」「何を学ぶか」より「何を学ぶべきか」に的を絞ることで学びの時間を最大効率化し、顧客への貢献と業績アップに時間を使いたい。
学びの目的は「学ぶために学ぶ」のではなく「現実を変えるために学ぶ」はずである。自分のステージに合った本やセミナーなどの出会いを通じて、飛躍的に自社を伸ばし、業績アップすることで顧客や社員に還元し、よりよい会社作りができることを願うばかりである。

 

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