2018年9月から全国紙新聞「サンケイビジネスアイ」朝刊とフジサンケイグループWebメディア「Sankei Biz」に弊社代表の親川政明による執筆で経営コラム記事連載を掲載しました。当経営コラムは掲載コラムをノーカット版でお届けします。
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フジサンケイビジネスアイ
2018年10月23日掲載
【経営コラム連載第7回】
「最高の未来を定義し最短で結果を出す」
http://www.sankeibiz.jp/business/news/181023/bsg1810230500006-n1.htm
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【ノーカット原稿版】
何事も最短で結果を出すには「目的の明確化」が不可欠である。つまり「結果、どうなっていればいいか」が明確になると逆算して「今」をどう生きるか、どう行動するかを決定することが容易になる。迷う時間もなくなる。「あとはやるだけ」なので結果が出るのも速い。
例えば、新事業を手がける時には当然、「事業が成功すること」「儲けること」などの成功をイメージすると思うが、現実は失敗するリスクもある。そこで「事業を撤退する要件」や事業の廃業リスクである「撤退するコスト計算や業務」を整理しておく。
このように「最悪のパターン」さえも先に計算し、ルール化しておくと万が一、リスクが高まっている時でも事業撤退要件までは踏ん張れるし、事業撤退要件を満たしてしまっていた場合は素早く事業を損切りできる。
例えば「事業の目的」を明確にしたのち出口戦略として「成功したらどうする」「失敗したらどうする」ということを「事が起こった後」ではなく「事前」に決めておけば、それまでは迷いなく全力で走れる。結果、迷いがないのでスピードは上がり、成功も失敗も速く結果がでる。事業改善の速度も上がるので実際には事業の成功確率も上がる。
では、自己資金で創業した「オーナー会社」の社長のゴールはどこであろうか。筆者がコンサルティングした先のパターンで分類すると、4つの社長像がある。仕事が好きでずっと自ら現場に入り続けたい「自営業型」人を育てることが好きで人材育成することで社会に貢献したい「経営者型」会社から得られる利益を不労所得化して、会社を通じて自らの自由時間を得ることを目的とした「投資家型」赤字のため債務や業務に追われ、会社をやらざるおえない状況に陥ってしまった「困窮型」である。
先の例の4種類の経営者型は当然ながら目指すべき結果も4つある。会社の所有、保有、売却、廃業である。「自分の会社で自分が働き役員報酬をもらう」か「自分の会社で別に社長を立て、利益配当をもらい続ける」か「会社を売却する」か「会社を廃業するか」という出口である。出口が決まれば自ずと今、どのような選択を優先すべきかがわかりやすい。
このように各事業の未来をどれにしたいのか、最低でも1年に1回見直すことで「今やるべきこと」が明確になる。「自分が現場にいなくても業務が滞りない会社にしたい」と考えている経営者のやるべきことは「経営者育成」や「社長不在でも回る経営の仕組み」を創ることを念頭に置いて日々改善することでゴールに近づく。
社長が「現場から離れたい」と言いながら「経営の仕組み」を改善するよりも「目の前の業務」に追われている場合は一生、このループから抜けられない。この場合、業務を一時放棄してでも一度立ち止まって本気で「経営の仕組み化」を検討する必要がある。目的を達成できない手段にどれだけ労力を使っても結果がでることはない。
日本人の寿命は70年や80年と言われるが、五体満足で経営者として活力を保ち続けられる期間は寿命のせいぜい3分の2程度であろう。その限られた人生の時間の中で創業する、経営するのであれば自ずと「その先」を見据えなければ、あっという間に人生が終わってしまう。
経営者として、会社としての「最高の未来」を定義して始めれば万が一、道半ばで事が終ってしまっても、その未来を引き継ぐものも出てくる。「今、何をすべきか」で迷っている場合は「将来、どうあるべきか」をもう一度見直してみてはどうだろうか。未来のビジョンが明確になると社員も経営者自身も力が湧いてくるものである。