【社長経営コラム】No.015
優れた人を「集めよう」としない
採用戦略のカギ
会社に勉強に来る社員は雇ってはいけない
今日のお話は「『探究心』優秀な人が集まる仕組みづくり」についてお話ししたいと思います。
事業成長をしている企業からのご相談は、大きく分けて2つに分けることができます。
1つは「売上」の問題、もう1つは「人」の問題です。
特に、近年は人口減少や労働人口が減っていることもあり「雇用への課題」を感じている会社が増えています。外部に優秀なチームをつくるにしろ、社内にアルバイトやスタッフ、社員を雇い、組織をつくるにしろ、どちらを選んでも「人を雇う」という問題は事業成長には欠かせません。
今回お話を伺った社長様は、年商5千万から1億円へと急成長中の ITと経営コンサル会社のA社長とのお話しです。
A社長の会社は、社長1人で事業の基盤をつくり、その後は社員を雇って2,3年で急成長している会社でした。経営コンサルタントとしても優秀で、これまで一度も「赤字になったことがない」として、いろいろな企業の業績アップを短期間で達成する方でした。
A社長とは、長年経営の話をするようになり、普段から口癖のように「ビジネスは仕組みが大事!」というくらい再現性の高い仕組みづくりに好評があります。
ここ最近は、今後の事業成長において「優れた人を集めたい」と採用にも積極的に行っています。将来有望なやる気のある社員を現場から経営陣まで引き上げ、複数ある事業をそれぞれに任せたいと考えていました。
そんなA社長のもとに、優秀な女性が「ビジネスを勉強したい!」と入社面接に来られたそうです。
この女性は、過去に複数の事業をいくつもの成長させた成功実績があり、成長意欲も高く、やる気もあることから今後の経営陣に迎えたいとして雇うことにしました。
・・・それから2年間
社員が活躍する場をつくり、仕組みを改善し、お金を使って、育つ機会と経験が身につくように、手塩にかけて育てていました。……が、2年経って、ビジネスを学び終わった社員は卒業し、次の会社へ転職されたということでした。
社員の成長のために、あんなに「お金」と「時間」を費やしてきたのに、社長の想いは実ることなくあっけなく終わり、気落ちしている社長からご連絡をいただきました。
<A社長との会話抜粋>
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A社長「西尾さん、反省も兼ねてやっと分かったことがあります」
西 尾「何ですか?教えてください」
A社長「『勉強したい』とやってくる人は採用してはいけないですね」
「自分のやりたいこと、すなわち自己欲求の追求という『目的』のために、
『お金をもらいながら勉強する仕事』という『手段』だったことがわかりました」
これが、これまでビジネスの仕組みに好評があった社長が
2年間かけて作った組織という仕組み作りから見出した答えでした。
もちろん、その答えにわたしも賛同しました。
優れた人を「集めよう」としない
組織は、経営システムですので、良い人が見つかったから「社員として活躍させよう!」とか、将来有望そうだから「社員として育てよう!」とか、視点が【人】へ向かうと属人性の高いビジネスになり、個々の課題が増えて、改善が追いつかずに大抵失敗してしまいます。
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そうならないためにも、無理矢理、優れた人(期待できるいい人)を集めて、事業成長する会社をつくるのではなく、自然と『優れた人が集まる会社』『優れた人に育つ会社』としての【経営システム=会社組織】が必要です。
例えば、優れた人が育つ仕組みがある会社は、「一流のデザイナーになってクリエイティブで人の役に立ちたい」とか「有名企業や有名商品と仕事をして、その先のお客様を喜ばせたい」とか表現は違えど、そこには「探究心」があり、その先に「お客さまへの貢献心(関心)」がセットで存在します。
一般的に、探究心とは「物事の本質を探り見極める」ことですが、それだけではなく、その先のお客様のために自分を磨く人が成長する会社には必要です。
また、選ばれる会社になるには、会社としても『我々は、誰のために、何を追求しているのか』明確に持っておく必要があります。
例えば、デザイン会社の場合でしたら・・・「当社は、デザインの分野でブランディングで企業価値に貢献する。そして、お客さまの笑顔と社員の笑顔をつくる。この目的達成を目指していますし、そのためにあなたの力を貸してください」という会社の未来を創る理由をメッセージとして表現することが重要です。
このメッセージを表現し、「いっしょに会社の未来を創る仲間になりたい」と賛同してもらう・・・これが《 採用戦略のカギ 》になります。
そうした企業からのメッセージを、優秀な彼らはウラ取りとして情報収集をしながら確認します。
「この会社の未来は、本当に大丈夫だろうか?」
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そんな期待と現実を考えながら、あなたの会社のセンスの良いホームページ、電話での感じの良い対応、会社訪問の際の明るい雰囲気、整理整頓された社内、社員同士の会話や空気感など、その会社での自身の「未来像(活躍する姿)」を読んでいることに間違いありません。
大事なポイントは「企業として、何を『追求』しているのか」を前面に打ち出すことです。
そうでないと探究心の低い人(自己の追求な人)ばかりを集めることになってしまいます。
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最後までコラム記事を読んでくださり、ありがとうございます。
JPBA専務理事/組織設計アドバイザー
西尾 順(Jun Nishio)