年商数億円から年商10億円に向けて会社を成長するためには、「仕組みづくり」と共に、「組織づくり」も必要です。

社長が会社全体を見られる規模は限られています。余談ですが・・・人の脳の構造的に物事を扱える数は６〜７つが限界と言われています。これは「マジカルナンバー」と言われているジョージ・ミラーという心理学者が1956年に発表した論文に由来するもので、人間の短期記憶の限界はせいぜい７つのまとまり（チャンクと呼ばれる）くらいであるというものです。

最近では、もっと少なくて一度に処理できる情報は、おそらく４つ程度だとも言われています。

普段の仕事でも、一人の人が抱えられる仕事数は６〜７つで、同時進行にこなせる案件は４つくらいということになります。

そう考えると、社長が４人の部下に、１つずつ事業を任せ、それぞれがさらに４つのチームを作って１億円稼いだとしても、会社全体では最大４億円から５億円が限界になってしまいます。まさに５億円の壁がそこにあるのかも知れません。

年商２，３億円の規模であれば、社長が会社全体を見ることができます。しかし、それ以上は物理的に一人で行うことは出来ません。いっしょに経営をしてくれるＮｏ．２の右腕が必要となります。

今日登場するＢ社は、年商２億円のＩＴ企業です。システム開発の受託開発で業績を伸ばしてきました。Ｂ社長は苦労人で、いくつもの会社を渡り歩き、営業会社、開発会社の経験を経て34歳で独立。40歳の時には年商１億円になっていました。スタッフ、社員は５，６人のチームで、外注の専属が40名ほどの体制で事業を動かしています。

Ｂ社長のアイデア力と、解決力で、どこよりも品質の良いシステムを開発し、仕事も明朗会計で、納期も守る真面目な仕事ぶりに周りの企業からも信頼を得ていました。

わたしと出会った頃は、ちょうどＮｏ．２の右腕を雇う予定の時で、数千万規模の大きな案件が増えてきたタイミングでした。

案件が大きくなると、次第に納品するための体制や組織作りと、会社規模の拡大が必要になってきた事で、Ｂ社長は「経営」の勉強を始めたタイミングでもありました。

経営者向けのセミナーや書籍を読むと、「仕組み」や「組織」という言葉と触れる機会が増え、経営について真剣に考え始めていましたが、社長自身が、数名のチームならイメージ出来るのですが、20人〜50人以上の組織をつくるイメージが持つことができませんでした。そんなときに、わたしと出会いました。

「独立して５年。自分についてきてくれるプロフェッショナルな社員やスタッフも増え、売上も億を超えました。このまま行けば５億は行くと思うのですが、それ以上になると急に景色がかすむようにイメージができません」そう話をすると、少し沈黙が続きました。

そして、しっかりとした声で「経営を勉強したい」と言っていただきました。
社長の限界、売上の限界を超えることを決めた瞬間でした。

・・・後半に続く