【JPBA西尾】No.011:年商10億円の条件から考える1社あたりの顧客生涯価値(LTV)について(後編)

西尾 順 JPBA経営者コラム

【社長経営コラム】No.011

No.011:年商10億円の条件から考える
1社あたりの顧客生涯価値(LTV)について(後編)

こんにちは。

社長が経営を学べる協会
JPBA理事の西尾順(にしおじゅん)です。

このコラムは5000人の経営相談から
ピックアップして社長の会社経営を
お話ししています。

本日の【社長経営コラム】は

年商10億円の条件から考える
1社あたりの顧客生涯価値(LTV)について(後編)

をテーマにお話ししたいと思います。

前回のおさらいとして、強い事業には「生涯顧客価値(LTV)」を踏まえて設計されているというお話の中で、中小企業が大手企業とお付き合いするための「受注プロセス・システム構築」やブランディング事例などをお話しさせていただきました。また、なぜそこまでLTVを意識するのか?というのお話は後編でしたいと思います。(・・・まだ前編を読んでない方はこちらから)

社員一人あたりの労働生産性とは?

一般的な個人事業主やフリーランスのデザイナーであれば、お客様から要望や課題を確認して、一からデザインを提案して、ホームページを作ったとして、単価30万円でも見合うと思います。しかし、法人では厳しいのが現実です。

社員を雇っている法人は、社員一人あたり粗利は、最低でも支払い給与の3倍~5倍は必要です。先ほどの例(単価30万円のWEB)だと毎月粗利高で90万円~150万円程度が必要です。単純計算だと社長と営業と制作3名の計5名の会社の場合、月300万円~500万円の売上(粗利高)が必要になります。

単価30万円のホームページ制作と考えた場合、月に8件の案件を納品しなければいけません。たとえ納品できたとしても、デザインを納品した後は、また新しい企業案件を受注するために集客や営業に走り回る必要があります。

そして、これは数字上の話です。

実際には、顧客との打ち合わせに手間が掛かり、この通りに進みません。何度も顧客先へ足を運び、デザイン提案をする必要があります。納品が伸びれば伸びるほど、営業経費や人件費など経費が掛かってしまいます。これでは、集客に使ったチラシ代や広告費の回収もできませんし、手間も掛かりすぎてしまいます。

本体の社員10名として、労働分配率50%、一人の人件費が月に30万円だと想定すると、会社として月に600万円の粗利高が必要になり、これを件数で言えば、25万円の商品を毎月24件売る計算です。これだけ件数をこなしても、社員一人あたりの生産性は720万円です。

これは、件数を増やせば解決する問題ではありません。

売上を上げるために、件数を増やし、集客を増やして、成約して、打ち合わせをして、デザインして、納品すると考えると、スーパーブラック企業になっても難しいものがあります。

私たちJPBAでは、顧客が自社に一生涯払う売上金額(生涯単価)を得る為に4つのことをオススメしています。

<4つの手段で 平均購入単価 × 一生涯購入回数を伸ばす>
1)LTVを増やすには単価を上げる
2)継続商品を導入する
3)新規顧客を増やす
4)既存顧客の継続サービスの解約率を減らす


そもそも儲かりにくい労働集約型サービス事業の場合

デザイン業は、サービス業になります。技術が必要な職人として仕事をしていますが、顧客の個別な課題解決や提案など、顧客との接点が欠かせない事業です。ですから、朝から晩まで物だけを作っていれば良いわけではなく、手間の割には単価が小さく、大きく儲かりにくい事業だといえます。

その他にも、ホームページ制作、コーチング、マッサージ、施術、専門家、設備、リフォーム、工事業、1品加工、接客型の店舗ビジネスなども同様に、忙しい割には儲からないという状況になりがちです。売上が増えれば増えるほど、それに応じて人件費も、資材も大きく抱えることになり、経営リスクが高まります。そこで「手間に見合った単価」への変革が必要となります。

なるべく自社の強み事業だけにフォーカスをして、手間が取られたり、派生した小さな仕事で、自社の事業の妨げにならないようにする必要があります。他社と協力して、(自社を通さず)他社を紹介したりしながら、顧客満足を落とさずに、年商10億円の企業として「手間に見合った単価」を確保します。

特にサービス型の事業の場合、顧客や案件量が増えたときに、「人」を増やす必要があります。案件が毎月安定してしていればそれでもこなせるのかも知れませんが、月によって案件は増減します。そして、繁忙期に案件が複数爆発すると、担当者のキャパがいっぱいになって倒れてしまいます。

また、サービス型の事業では、社員やスタッフの育成にも時間が掛かります。プロとして現場に立つためには、最短で3ヵ月〜半年はかかるので、今日、明日で増やす事もできません。

客と案件が押し寄せてくる繁忙期で稼いだ売上は、閑散期には、固定費で損を垂れ流す、大変儲け難い事業ともいえます。「手間に見合った単価」とは、閑散期でお客様がいないときを計算に入れるものとなります。この対策が、サービス型事業の大きな展開、そして会社の発展に重要です。

前述で、わたしの会社で行った大手グローバル企業への事業の導入事例は、年間を通して仕事を受発注するシステム構築となります。一時、顧客が増えても、対応できる案件数は限られています。もしも顧客と案件が増えて、「人」を増やす事になっても、単価と手間(人件費)が見合っていればいいのです。

最後に、大手企業と取引できる会社になるにはどうしたらいいのかという事をお話ししたいと思います。

大手企業が取引したい会社は、発注先会社に「企業としての機能」を求めています。特に「スピード対応」、「期限厳守」、「品質基準の高さ」の3点が企業価値となります。会社の規模は重要ではありません。常に安定した品質で納品されること、担当者が頻繁に変わらない安心感、突発的なトラブル、事故が起きないことが重要です。そのため、「リスクの大きい企業」や「手間のかかる企業」を嫌います。

【企業価値と商品価値を作るシンプルな方法】

以下の項目が一つでも当てはまる企業は何かしら企業価値や商品価値を作り続けている企業と考えてもよいかと思います。

・「見積もりの提出が早い」
・「お金(支払い、集金)で揉めない」
・「取引企業の業務プロセスの小さな改善提案をする」
・「現場での急な変更にも柔軟に対応する(イヤな顔しない)」
・「まめに進捗報告をする(担当者を心配させない)」
・「互いの担当者とも仲が良い(販売者、発注者共に信頼関係ができている)」

シンプルに考えるとお客様へ「安心と信頼」を感じてもらう。このすべての過程が「企業価値」をつくり、「商品価値」として存在する理由になります。ぜひこのような取り組みを積極的に行っている社員を奨励し、企業価値、商品価値の向上に日々取り組むことが私たち企業経営者の役割と考えております。

最後までコラム記事を読んでくださり
ありがとうございます。

JPBA理事 西尾 順

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
※※※
【プレゼント!】
電子書籍はこちらから

https://jpb.or.jp/nishio-jun/

Amazonで発売中『経営のきほん』創刊!!

5000人のトップリーダーの「リアルな悩み」を徹底解剖。
今すぐ会社経営が学べる126ページを収録。

「図解付き」大きな文字で手軽に読める。
● 会社経営のメルマガ付き!

経営力の教科書(西尾)

【amazon】『会社経営入門
「デザイン力×経営力」の教科書』
¥1,628(税込)
https://amzn.to/2V6al1u

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
JPBA主催:次回セミナー・イベントのご案内
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
<11月の西尾氏 登壇予定>
【限定5名様 → 残り1席】
  2021年11月17日(水)19:00〜  @オンライン
———————————————
  今日から出来る!未来が見える!
「新規事業」のつくり方・伸ばし方
会社経営・入門セミナー
———————————————
社員一人あたり粗利3000万円を達成した
【6つの事業成長戦略】大公開!

<お申し込み>
https://everevo.com/event/62205

<12月の西尾氏 登壇予定>
【限定5名様 → 残り2席】
  2021年12月15日(水)19:00〜  @オンライン
———————————————
小さな会社のための
集客マーケティング&SNS戦略
「ビジネスの仕組み構築」入門セミナー

———————————————
スタッフ一人あたり年商3000万円を達成できる
【ビジネスの仕組み・6つの戦略】大公開!

<お申し込み>
準備中!

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
「PBFⓇメソッド」を学んだ結果、
わずか5か月で売上が5倍を達成。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

多くの受講生の成功事例を掲載しています

【JPBA卒業生のご感想】
https://jpb.or.jp/category/voice/

「すぐに起業・会社経営を知りたい!」という方へ
各地で開催している経営セミナーへお越しください。
https://jpb.or.jp/curriculum/1day/

【西尾順(にしおじゅん)プロフィール】
https://jpb.or.jp/staff/nishio/

西尾順のFacebook】
https://www.facebook.com/crazynishio

西尾順のPodcast配信ラジオ】
『ビジネス100の視点』
https://podcasts.apple.com/jp/podcast/id1488260345
—————–
一般社団法人 日本パーソナルビジネス協会(JPBA)
-「経営力教育」で豊かな社会を共に創る –
ホームページ :https://jpb.or.jp/

メールアドレス:office@jpb.or.jp
——————————-

 

最新の経営・起業セミナー

 

 

JPBA専務理事 西尾順

一般社団法人 日本パーソナルビジネス協会(JPBA)、日本で唯一の実践経営と経営人材育成が行える協会、専務理事・組織設計アドバイザー。企業経営の存続を左右するブランディングの世界にあって、東京都から「経営人材の教育事業」として経営革新の承認をいただき、80%の企業で売上アップの成績をあげる。中小企業の経営相談数は、5000社以上を超え、1年を通してアメリカ・マレーシア・日本の各地から社長様・経営者様のご相談を伺う。その結果、事業の仕組み化、組織設計、会社経営など、ブランディング経営を通した顧客満足度は非常に高く、年に10回、日本各地やオンラインで行われるセミナーや勉強会に、数多くの経営者が詰めかける。また、ブランディングからデザインを一貫して行う「株式会社 クール・アンド・クレイジー」代表取締役として活動する。

関連記事

single